*〜〜〜〜*〜〜〜〜*〜〜〜〜*〜〜〜〜*〜〜〜〜*〜〜〜〜* 「花とおぼろ月」 2007.4.1 by URUSHI OHTAKI 大滝 豊 お元気ですか。 家の外。わたしのからだをほんのりと包んでくれる、やわらかな大気。 寒さのために、思わず体を硬くしたり、身震いしたりすることももう 雪の湿り気をすっかり吸いとった春の空気は、微かに干し草のような わたしの中で育っていく淡い想いは、春の靄(もや)という半透明の
咲きしずまる桜の木の下に やわらかな光の輪が 落ちている 自らの影と連れだって 幼い子は 縄跳びをとびつづける 永遠につづくであろう時間の ひとこまを止めて 仔細に眺めるならば 縄跳びの縄の半円は 幼子が背負うべき 光背のようだ 見えない壁に囲まれた 不条理な世界のひびわれから 一陣の風が吹いて 幼子の 淡(うす)紅の着衣をひるがえす …落下ひとしきり 着衣の花模様の その花びらもともに 散りはじめる
「淡紅」 鈴木 漠(ばく)
4月は、新たなる出発(たびだち)の月。 けれどもその一方で晩春4月は、物憂い季節であるのも確かなこと。 おぼろ月のかかる、もったりと気だるく重い春の宵は、悩ましい猫の 菜の花畠に 入日薄れ 見渡す山の端 霞ふかし 「朧月夜」 高野辰之 秋のさやけき月を愛でる心とは裏腹に、わたしたちは、どうしてこの どうもそれは、中国にそのルーツがあるようです。 「春宵一刻値千金」(しゅんしょういっこくあたいせんきん) という蘇軾(そしょく)の「春夜詩」は、 「花に清香あり 月に陰あり」 と続きます。 清らかな花の香りと、少し輪郭のぼやけた月とが、春の宵を千金もの 平安時代の歌人大江千里(おおえのちさと)が、白居易(白楽天)の 「不明不闇朧朧月」(照りもせず、くもりもせず、ろうろうたる月) をふまえて詠んだ有名な歌が思い浮かびます。 照りもせず曇りもはてぬ春の夜の 地上には満開の桜。その華やかさが匂い立つように、天上には薄い雲 これぞ恋の背景にはぴったりの、どこかしら官能をくすぐる舞台装置 いつだったか、あなたを送って、そぞろ歩いた夕暮れの道・・・。 顔の表情さえ読み取ることができない薄闇の中で、どこからともなく 相反するものが混じりあう不思議な気分を、まるで季節の衣のように またお手紙、書きます。
平成19年4月1日 遠くのあなたを想いながら・・・
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