金継ぎ(金繕い)
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「漆」が、天然の塗料だということは知っていても、強力な接着剤であることをご存じない方が、意外に多くおられるようです。多くの合成接着剤が開発された現在でも、漆ほど安全で強力なものはないと聞きます。
そんな優秀な接着剤である「漆」と、格調高く安全な「金」を使って、
割れたり欠けたりした陶磁器などを修理する技術が、「金継ぎ」又は「金繕い」「金直し」などと呼ばれているものです。
それほど高価な品物でなくても、長い間愛用してきた器や、記念のもの、思い出の品など、壊れたからと言って、捨てるに忍びない一品は、ぜひともこの「金継ぎ」をして、末永く愛用してほしいもの。
こうした「ものを大切にして、修理しながらできるだけ長く使う」という考え方は、使い捨ての時代から、スローライフが提唱される時代へと移ってきた昨今の、人々の生活感覚に沿ったものでもあります。が、それだけでなく、この「金継ぎ」は、単に壊れたものをなるべく目立たないようにする西洋式の修理と違って、わざと修理した箇所を高価な金属である「金」で強調することで、完全無欠なものよりも、不完全な美を良しとする、「わび」「さび」の精神が根底にあって、これはもう「修復」という実用を超え、日本文化のひとつの形でさえ
あるのではないでしょうか。
下記に、金継ぎのいろいろなケースを示してみました。これをご参考に、どうぞお気軽にご相談ください。
●表面にひびが入っている場合
ひびに沿って絵漆(弁柄を混ぜた漆)を細い筆でつけ、塗り風呂に入れて40分〜1時間ほど置くと、それが生乾きになりますから、その上から
金粉をつけます。ひびが裏まで通っている場合は、ひびに沿って割ってから、接着した方がよい場合もあります。その場合は割れた場合と同等の料金となります。
・ お預かりする期間:1週間〜2週間
・ 料金:2,500〜3,500円
(程度によって違いますので、個別にお見積もり致します)
●ふちなどが「ほつれた」(欠け落ちた)場合
「木の粘土(乾くと木のようになる特殊な粘土)」や粗い下地漆で穴の部分を埋めてから、通常の下地を施し、中塗りの後、絵漆を塗って金粉をつけます。
・ お預かりする期間:2週間〜1ヶ月
・ 料金:3,500〜4,500円
(程度によって違いますので、個別にお見積もり致します)
●陶磁器が2つ、またはそれ以上の欠片に割れた場合
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修復前 |
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修復後 |
すべてのパーツをよく洗浄し、割れ面に生漆(きうるし)を吸い込ませて固めた後、麦漆(小麦粉を水で練り、そこに生漆を入れて練ったもの)を塗って接着し、塗り風呂に入れて、何日も十分乾燥させた上で、隙間を下地で埋め、上記と同様の手順で繕います。
・ お預かりする期間:1ヶ月〜2ヶ月
・ 料金:4,000〜6,000円
(程度によって違いますので、個別にお見積もり致します)
●割れた「欠け」がなくなった場合
木片や「木の粘土」で、欠けた部分を補い、麻布や丈夫な和紙を漆で貼って補強した後、上記と同様の手順で繕います。
・ お預かりする期間:2ヶ月〜3ヶ月
・ 料金:5,000〜10,000円
(程度によって違いますので、個別にお見積もり致します)
金継ぎ依頼のプロセス
1 診断
まずメールにてご相談下さい。
可能なら、現物の写真を添付して下さるとありがたいです。
E-Mail送信先:yutak@lapis.plala.or.jp
2 見積り
状態を診断し、修理の方法、期間・ 費用を折り返し、メールにてお知らせします。
3 現物の送付
お見積もりをご検討いただき、ご了承いただけましたら、現物をお送りください。
4 修理
荷物が到着しましたら、メールにてご連絡し、修理に取りかかります。
5 お渡し
修理が終わりましたら、あらためてメールにてご連絡致します。
お客様のご都合に合わせて品物を お送りし、その後銀行振込、郵便振替などにてお支払いをして いただきます。クレジットカードをお使いになる場合は、代金引換の「お届け時カード払い」となり、代引手数料がプラスされます。ご了承をお願いします。